何故勉強するのか? 元学習塾経営者の吾輩が明確にお答えします

「sin、cos、tan、こんなんやって意味あるん?」とか、「歴史なんか勉強しても私には関係ない。」とか、

「お母さん何で俺に勉強しなさいって言うん?」のようなことを子供に問いかけられた親は多いはず。

元学習塾経営者兼講師の吾輩が明確にお答えします。

国語・英語はまだしも、こと数学や物理などの理系科目が嫌いな子供が理系科目学習の必要性を理解し難いのはよく解る。ある日、中3数学(公立中学)の授業中に因数分解を教えていたら「先生、こんなんやって意味あるんですか?」とド直球で聞かれた。吾輩は「ある。当然や。」と答えた。生徒は理由を説明しろとばかりに吾輩の目を見てくる。吾輩は天井の電気を指さしながら、「この教室の電気も数学が無かったら作れてないよな。この建物自体も数学が要る。耐震強度、建蔽率、容積率、採光とかいろいろの計算に数学が使われている。それだけじゃない。電車もクルマも数学よ理科の知識が無いと作れないよ。君たちが今着てる服もミシンで縫うわけやろ。ミシンを作るのにも当然数学や理科の知識は要る。まず学問があって、その後を科学技術が追いかけてるんやで。」。するとその生徒は、「でも自分がそれを使うとは限らない。」と反論した。吾輩は、「その通り。世の中の大方の人は数学を使わないだろうね。日常生活の計算にちょっと算数を使うぐらい。でも、それを言うなら英語喋れんでも歴史知らんでも別に生きてはいけるよな。人それぞれどの道に進むかによって使う学問も変わってくる。だから中学までは一通り広く浅く学ぶわけよ。高校生になって数学が嫌やったら習わんでもええんやで。」と言うと、「えっ。ホンマに!?数学せんでもええの。やったあ。」と喜ぶ。「そうやで。中学で理科言うたら一つやけど、理科には物理・化学・生物・地学があって高校ではその中で好きな科目を選ぶ。高校から徐々に専門的になって大学の先の大学院のレベルでその道の専門家になってくる。でもまあ今は『志望校に入るために頑張る』でええんちゃうかな。」100%納得したわけではないだろうが、その生徒は苦手な因数分解の問題に向かった。

 

懇談のとき、ある生徒の母親から「息子に、『俺の人生やのに何で勉強せえ勉強せえ言うん?』と言われて返答に困ってしまって。こういう場合どう答えたらいいんでしょうか?」と尋ねられた。

吾輩はこう答える。答えは簡単です。『幸せになってほしいから』この一言に尽きます。お母さん、子どもさんの教育費は惜しまず出すでしょ?できるだけ良い高校に行って、良い大学に進んで、良いところに就職して・・・。と考えておられるでしょ?」。母親は頷く。吾輩は続けた。「何も学歴だけが人生ではありませんが、親が子の幸せを願って教育を受けさせるのは当然のことです。『幸せになってほしいからよ』と言ってあげてください。」と。

これが唯一の答えなのだから。